うつ病 :恵比寿の鍼灸院
1 感情面 - 気分の落ち込み
ゆううつ感やイライラ感、不安感、焦燥感などが主です。
2 意欲面 - 意欲・気力がなくなる
心に起きてくる症状で顕著なのが、「意欲がなくなる」ことです。 すべてがおっくうになるという変化が見えるため、家族や身近な人も気がつくことが多い症状です。 どちらでもいいようなことでも決められず、いつまでも考え込んでいるといったことが増えます。
3 思考面 - 思考力が低下する
頭が回らなくなったり、判断がうまくできなくなります。 集中力がなくなったり、興味や関心がなくなる、といった変化があらわれることもあります。
4 身体症状
うつ病の人によくみられるのが、「睡眠障害」です。 多くは不眠ですが、ときに過眠になることもあります。
ただの不眠症と違うのは、寝覚めの気分の悪さと疲労感です。 「いつまでも眠れない」「眠りが浅く途中で目覚める」「夜中や早朝に目が覚めて再び眠れない」などがあります。
うつ病では睡眠障害のほか、様々な症状があらわれます。
全身の倦怠感や頭痛、耳鳴り、めまい、味覚障害、首や肩のコリ、関節痛、腰痛、しびれ感、食欲不振、口の渇き、胃部不快感、腹痛、便秘、下痢、胸部圧迫感、頻尿、性欲減退など
うつ病の脉診流経絡治療 : サルビア鍼灸院
うつ病は臨床的には様々な症状がみられますが、これらの症状に対して脉診流経絡治療は効果があります。 うつ病により起こるめまい・発汗・不眠・頭痛などの不定愁訴は、脉診流経絡治療の最も得意とする適応症です。
脉診流経絡治療では自律神経の乱れを整え、身体のバランスを調整することによって、気分も落ち着き心も晴れやかになっていきます。
脉診流経絡治療を行うと身体が軽くなり、食欲が増進したり、睡眠がとれるようになり、心の負担が軽くなります。
特に軽症うつ病の方はできるだけ薬を飲まずに治療していくことをお勧めします。副作用の多い薬はやめて、身体が本来持っている自然治癒力にまかせてみませんか。 脉診流経絡治療では 自然治癒力 を高めていきますので、 うつ病の 様々な症状が改善していきます。
うつ病は休養することが治療の第一歩
休養とはいっても、中途半端に休んでも効果が上がりません。
休養とは
1. よく眠る。
2. 活動を控える。
3. 余計なことをしない。
「身体的に休む」とは、ともかく体を休めることです。四六時中ごろごろしていても、何をしても何をしなくてもいいという状態に置くことです。
徐々に、朝は起きて布団から出てごはんを食べ、夜は布団に入って寝て、朝まで眠れる状態になることをめざします。
「心理的に休む」とは、心配の種になっていることから離れることを意味します。それが仕事のことなら、仕事を完全に休むようにします。
悩むこと、苦しむこと、心配すること、それを解決しようとすることにはたいへんな心のエネルギーが必要です。 そのために眠れなくなることも多いので、心配ごとをまずは取り除くことです。
「うつ病なんですが、はりで治りますか?」というお問合わせをいただくことがよくあります。
どこからか鍼はうつ病に良いらしい、と聞いてのお問合わせです。
うつ病が治るとまでは考えられてなくても、ガチガチに固まった肩、頸を何とかしてほしい、とか夜中に何度も起きてしまう、とかといった愁訴が良くなればと考えて治療を検討されているというお電話です。
しかし、うつ病(うつに限らず、精神疾患全般)の方の特徴は動くまでが長い。
あれやこれやが決定できないし、「治療したら必ず治ります。」という確証が欲しい。
その確証が得られないので行動に二の足を踏んでしまうし、いざ何日の何時という約束の時間に動けるかどうかわからない。
精神疾患の方で治療が難しいのは治療(通院)が続かないことです。
大体、1、2回の治療で来られなくなります。
続かない理由はその日の体調が朝起きてみないとわからないので予約をしても行けるかどうかわからない。予約した日をいったんキャンセルしたものの、次いつ行けるかどうかわからないので結局なし崩し的に鍼灸治療を断念されてしまいます。
あるいは1回の治療で劇的に変わらなかったからという理由もあると推測します。もちろん、苦しいのですぐに何とかしてほしいという気持ちはものすごくわかるのですが、往々にしてこちらが重症だと思う方に限ってすぐに結果を求められます。
そして、鍼の治療を受けようかという患者さんはほぼ全員の方がもう既に心療内科とか精神科などに行かれて数種類のお薬を服用されています。そして、良くなるための薬を飲んでいるにも関わらず、良くなっていない。それなのに数年も病院に通い続けられています。あるいは何軒もドクターショッピングをされています。
中には飲んでいる薬によって余計ひどくなったという自覚がある方もいます。
薬は飲みたくないのだけれどこれしかない、と思いこんでいる方がほとんどです。
以前、このブログで「治りやすい人」 というタイトルで書いたように病の治癒には本人の治りたいという切実な思いと治療に対する意欲が重要です。
ですが、多くのうつ病患者さんと他の疾患の患者さんの大きな違いは判断力と意志力の差にあります。
うつ病の患者さんの場合、長年飲んでいる薬で骨抜きにされていることが多い。つまり、まともな判断能力がなくなっています。治療の意欲は空回りします。それどころかさらに不安が増幅していて、ちょっとした不調や変化を必要以上に恐がられます。それ故、少しでも悪くなると結局、薬に依存していきます。(長年、薬を飲んで良くなっていないにも関わらず、病院や医者を頼って行くのです。)
また精神疾患の患者さんに特徴的なのは家族が介入してくること。
家の中に精神症状で悩んでいる人がいると家族としてはとっても心配。
それ故、精神科の受診を勧めたり、他の科に行っている場合、「先生(ドクター)がお薬(抗うつ剤とか睡眠薬とか・・・)を勧めてくれるんだから、飲んだ方がいいんじゃないの。」とか本人は飲みたくないと思っているにも関わらず、「飲んだら前より元気になったじゃないか。」とか、言われている方多いと思います。
さらに、鍼灸院に行って何言われたか知らないけれど、医者の方が信用できる。何しろ精神科の医者は専門家なんだから専門家に診てもらった方がいいに決まっているというのが世間の大多数です。
というわけで意を決して鍼灸院の門戸を叩いて来られた方が「薬を止めるなんて無理だよなー。」となり元の黙阿弥。
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「断薬のススメ」の著者、内海先生も言っているように、精神疾患の場合、他のガンや難病患者さんに比べ格段に手強いのだそうです。
何度も言っているように薬が病を治しているのではなく、症状を抑えている、麻痺させているだけなのです。根本的な治癒(治癒というのは本人の治ったという自覚があり、薬も通院も必要ない状態)を望むのであれば、自分(人間)の持っている自然治癒力を上げるしかないのです。
そのためには病に至った原因、たとえば仕事、人間関係、環境に無理はなかったか、食事は?生活習慣は?考え方の癖やマイナスの感情を長年抱え続けてなかったか?などなどよーく考えてみるといいです。そして場合によっては仕事を辞めることになるかもしれないし、家族と離れることもありです。
多くの精神疾患の方は現状を手放すことができません。
仕事は這ってでも行く、苦しい思いをしても生活の安定の方が大事なので、絶対に仕事は辞められない。家族間の精神的葛藤があるにも関わらず、同居を続ける。などなど。
現状を直視し、客観視できる思考と感情は茫洋とした心と身体ではできません。
とにかくうつ病の患者さんには「焦らないで。」そして「治療を続けてみて下さい。」と
言います。
予約通りに行けない日もあるかもしれませんが、今日なら行けそう、と思った時にご連絡していただいても構いません。
諦めないで。そして焦らないで。
50代女性 治療例
来院される2ヶ月ほど前からうつ症状、不安感、緊張感、全身倦怠感、頸、背中の痛み、便秘、食欲ない。夜間の中途覚醒でそれから眠れない。
1週間前から抗うつ剤2種類を服用。
こうなった原因は中学生のお子さまの不登校から。
週1回の治療を開始しました。
2回目
眠りは浅いが目がぱっちり開いてしまう中途覚醒がなくなり、食欲が出てきた。不安になると頸、肩、背中がこわばる。
3回目
「大分良くなった。」2種類飲んでいた薬を止めて1種類、朝だけ飲んでいる。
4回目
薬を全て止めた。先日、心療内科に行った時、薬を止めたいと言うと予防のためにあと半年は飲んだ方が良いと言われたが自分で止めた。止めて1週間になるが、特に苦しいとかめまいがするとかない。ただ、夫とけんかした時、無意識に涙が出てしまったのは薬を止めたからなのかどうかわからない。夜も眠れるし、目覚めも良いし、おいしく食べることができ、家事も普通にしている。
これ以降2週間~3週間の治療間隔になる。
5回目
調子は良い。子どもの学校を止める手続きなどで気が重いことがあるが、これは普通の人でもそうだと思う。薬を止めたことの離脱症状はない。
6回目
今週は子どもの学校関係の手続きやそれに伴うあいさつなどで気が重くなることが重なり、昨日は眠れなかった。食欲は普通。
7回目~11回目
私の「いかがですか?」という問いに毎回「良いで~す!」*^▽^*
以上で治療終了
ふり返ってみて本人がおっしゃるには、2回目の治療を終えた時点でものすごく身体が軽く感じたとのことです。
そして、「仕事を休んだら(辞めたら)ダメになる。仕事だけは何としてでもがんばって行こう。」と続けられたことがよかった。
「(具合が悪くなってすぐに治療を受けた)タイミングも良かったと思います。」とも。
これが「治る」ということなのかと実感した症例です。
うつの原因となったお子さまの状況は変わっていません。それでも後戻りすることなく、もちろん薬に頼っての平衡状態でもありません。
つらいのは確かだと思いますが、身体も思考も感情も病の本体から抜けられたのだと思います。
鍼灸は魔法ではありません。1回で良くなったとか、変わったと喧伝するつもりはありませんし、そう思われるのも本意ではありません。
似たような症状でも深さや複雑さなど人それぞれ違います。
ただ言えるのは、症状を深く、複雑にしないために早期の治療と治療を開始したら間隔を開けないことです。
52歳 女性 治療例
不眠、動悸、手足のしびれ、食欲不振、午前中の気持ち悪さ、肩こり、腰痛
当院を受診される約1年前から更年期症状(ホットフラッシュ、気分の落ち込みなど)があった。そしてそんな時期、会社の人間ドックで様々な異常を指摘されショックで全く眠れなくなる。(後日、再検査したところ問題ないことがわかった。)
会社に行くのが困難になり3ヶ月余り会社を休職される。
そして何とか職場に復帰されたものの、プライベートで強いストレスを受けることがあり、手足のしびれや息苦しさの症状が出てくる。食欲もほとんどなく、1年ほどで15キロの体重減。
診療内科では「不安神経症」と診断され、始めはドグマチール、その後、薬はメイラックスになり、当院に初めていらっしゃった時は減薬中だった。
とにかく朝、何とも言えないつらさがある。寝付きはいいのだが、必ず3時くらいに目が覚める。ものすごい汗をかき、身体がこわばり、身体の内側が震えるような感じが起床するまで続く。会社に行くため必死の思いで起き上がり、お風呂に入って何とか仕事に行く体制を作る。
会社で昼食を食べると大分楽になり、夕食はふつうに食べられる。
しかし、また夜中に目覚め、会社に行くまでの不快な症状と戦い、這うようにして通勤しているとのこと。
とにかく不安がある。「この先どうやって生きていこうか・・・。」と。
薬ですぐに副反応が出てしまう。
漢方薬を処方された時も全身にカイロを貼ったような灼熱感があったり、インフルエンザに罹った時に服用したタミフルで失神したこともある。
以上が初診時、及びその後の問診で話されたことです。
そして週に一度の治療を開始しました。
2回目
ほぼ変わらず。医師と話し合ってメイラックスを飲むのを止めた。診療内科には2週間に1回通院している。
4回目
症状は変わらないが、治療の後は深く眠れるような気がする。診療内科は3週に一度になった。
5回目~8回目
精神的に敏感になっており、感情の起伏で背中、肩甲間部がこわばって苦しい。首の後ろや背中がつまるような感じやムズムズする感じ。
この頃下痢が何回かある。
その後、しばらくは表現の違いはあるが、基本的には症状が変わらず。時には朝起き上がることができず、会社を休むことがあった。
15回目
少しずつだがましになったような気がする。
17回目
朝4時くらいに目が覚めて起き上がるまで苦しいが、程度が軽くなったし、その時間が短くなったような気がする。
18回目
また一段と良くなったような気がする。この前体重を測ったら3キロ増えていた。
20回目
また、元に戻ってしまったような感じがある。
21回目
波はあるが、最初の頃の一番悪い時からしたら確実に良くなっている。最近は目覚めるのが5時とか5時半になり、以前に比べれば比較的楽に起きられるようになった。背中がゾワゾワする感じもましになった。食欲が出てきて太ってきた。
22回目~25回目
症状は軽くなったものの、頭痛がしたり、下痢をしたりすることがあった。
26回目~36回目
今まで休職明けを考慮して配属されていた部署から新しい部署に移った。仕事が忙しく残業で9時くらいまで会社にいることが多い。会社にいて夕方疲れてくると頭痛や頸のこわばりが出てくる。眠りが浅く、何度も途中目が覚める。以前に比べ、意欲は出てきたが、身体に自信がないので仕事以外のことは自粛している。
37回目~41回目
残業続きでとにかく疲れている。
会社の産業医に相談して残業のない部署への配置転換を認められる。
42回目
仕事で残業がなくなり精神的にも身体的にも楽になった。
45回目
先週休暇で旅行に行ってきた。頭痛はなかったが、睡眠はあまり良くなかった。
脉状は沈・やや数、虚。
治療は始めの頃は脾虚肝実。そしてだんだん腎脾相剋か腎虚脾実に移行。
こうして過去のカルテをさかのぼって見てみると、確かに様々な症状があまりすっきり消えたという感じがないように思えますが、うつのトンネルから抜けた時点というのが曖昧ですが、おそらく30回目あたりかなー。(治療を開始して8ヶ月くらい。)
朝起きた時の何とも言えない不快感。これはおそらくなった人にしかわからないような感覚でしょう。それが徐々になくなってきました。
そして、気持ちが明らかに“普通”になったと思えるようになり、抜けたという感じはその時点ではなかったにしてもだんだんその感触が揺るぎないものになっていかれたようです。
変化は劇的ではないものの、この方の場合、更年期の症状とうつ病以前の複数の不定愁訴が重なり、元々症状が何もない状態というのが遥か昔という状態だったので薄皮を一枚ずつ剥がすような治療になったのだと思います。
とにかく毎週土曜日にまさしく這うようにして通ってきてくれました。
その気力に脱帽です。
体力がちゃんと回復していないうちの過酷な仕事環境を自分は自分で守らなければいけないと、自ら上司に直訴されたり、満員電車で有名なある路線のしかも1時間近くかけての通勤だったのでグリーン車に乗ることを自分に許し、とにかく仕事に行くために必死でした。
そしてこの方の場合、薬剤によって何かしらの副作用が出たので薬に頼ることがなかったのが幸いしたようです。